2018.3.5 第20話

家を創ることになってしまった

O氏:「もしもし〜。高台の上に公園がありましてね〜。そのすぐ下に、海が見える土地があるんですよ〜。右手の下方には川があって、すごく見晴らしのいいところなんですね〜。」(さらに)O氏:「それでね〜〜、たなかさんに家の絵を描いて頂けないかな〜っと思いまして。外観2〜3枚と、家の内観を2〜3枚。いかがでしょう?」
 
20年前からお付き合いいただいている、鳥取のお客さんだ。この方のおかげで、自分はグラフィックだけと決めていたデザインの世界が、ファブリックに、家具に、店舗プランに、、、、。と広がっていった。今度は「たなかさんの頭の中にある、素敵な住宅を『絵にして!』。」というのだ。この人はいったい僕を何だと思っているんだろう?
 
papa:「まぁ〜〜〜、絵を描くことはできますよ〜。」「今度自分が家を建てるなら、こんなのがいいな〜〜ってのは頭の中にあるので、、、。」「平屋で、合わせ片流れ、南側に採光窓。南東は家の幅だけぜ〜〜〜んぶデッキにしたいな〜〜。縁側みたいに、、、。」「、、、でも、ただ絵を描いてもダメでじゃないですか〜!」「その土地を見せてください。」「陽の回り方。風の向き。雨水の流れ。海と川の見え方。」「その土地の周りのこと。」そしていっぱいお話を聞かせてください。
 
一週間後、papaはO氏とともに鳥取のその土地に立っていた。L字の斜傾地、砂丘にも似た砂地。赤松の群生。はるか下方に川。河川用地の横。堤防脇。海が見える。東と南は遮るものが何もない。素晴らしい見晴らし。
 
頭に描いていた、平屋の合わせ片流れプランはすぐに消えた。「この景色展望をプランの柱にしましょう。」「二階建て。リビングは2Fに。床から立ち上がる大きな窓。梁を見せて吹き抜けに。2Fの南側に大きなデッキを作りましょう。ブランコも。デッキの下には物置、壁は板張り、屋根は平瓦、細長く凛とした三角屋根。できるだけ自然素材で。枕木、軟石、古レンガ。自分たちでできるところはDIYで、経費節減でいきましょう。」
 
子供は三人。洗濯物がたくさん→ストレスなく干すスペースが欲しい。おばあちゃんが泊まれる部屋。奥様はパン教室を。家族でデッキでBBQがしたい。朝は重なるのでトイレは1Fと2Fに設けて欲しい。メインダイニングテーブルは、frannaturenのオーバルテーブル2400(papasdesign)+Yチェア6脚。今、そして、5年10年20年後。暮らしと時間軸を見据えて、、、。平面図を描かなければ立面図も見えてこない。「絵」も描けない。、、、、家を創ることになってしまった。、、、なんと、来月4月に竣工です。
 
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