2018.2.19 第18話

蕎麦屋で一杯。

店主:「いらっしゃい!」パパ:「焼き海苔と板わさ。お銚子一本、冷やで。それと、天ざる。天ぷらを先にいただいて、蕎麦はあとでお願いできますか。」店主:「あいよ!」
 
北海道では、まして昼間っから蕎麦屋で酒(まして日本酒)を飲む習慣はあまりないが、向こうでは結構ある。papaが出張に行くと、一人の時はだいたいが蕎麦屋だ。至福の時なのだ。格好つけて文庫本でも開くのだが、ダラダラ腰を据えちゃ〜いけね〜よ。(なぜか江戸っ子でぇ〜)
 
手のひらほどの小さな炉の小箱の上に数枚の海苔。さっと炙り、畳みながら口に入れ海苔の香りと香ばしさで、一杯。わさびは醤油に溶かさず蒲鉾にのせ醤油をほんの少しつけて、一杯。上顎からのわさびと日本酒が蒲鉾を包む。丁度上がった天ぷらはサクサク感を失わないうちに、ハフハフあちゅあちゅと、もう一杯。二〜三廻りしたところで一合のお酒が残り僅かに。そこで「お蕎麦いただけますか?」「あいよ〜!」
 
まずは何もつけずに蕎麦そのものの甘みと香りを確かめる。二箸目は、おちょこに残ったお酒をさぁっとお蕎麦にかけ頂く。ここでやっと、天婦羅の油がキラキラ浮いたそばつゆに箸で持った蕎麦の下の方だけをつゆにつけ、ズズッっと一気に頂く。最後に蕎麦湯をいただいて、「お勘定!」
 
まぁ〜、3〜40分。夜の部は酒の肴が1〜2品増えて、お酒は二合といったところだろうか。食事というか、時間と所作の流れ、小気味よさが蕎麦屋はいいなと思うのだ。〝粋〟なのだ。
 
日本の男子は〝粋〟でなくてはいけないのである。〝粋〟は日本のデザインの「大素(おおもと)」なのだ。(笑)
 
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