2018.10.15 第52話

ダーマトグラフ。

細いクレヨンのような?糸を引っ張って、クルクルクルって皮を向いて芯を出してゆく、あのペンシル。三菱DERMATOGRAPH。「パパスデザインの素」のイラストはこれで描いてる。何話かは写真をデジタル加工したものを使ったが、やはり面白くない。というか?趣がない。
 
手法は、この「ダーマト」で、手描きしたものをスキャナーでスキャンしてPCに取り込み、このアウトラインの下のレイヤーに色を重ねてゆく。透明水彩的な技法なのだが、失敗しても「command+zキー」でタイムマシーンのように失敗前のどの時点にも戻れるのでとても重宝している。タブレットで描いてゆく方法もあると思うけど、デジタルっぽいラインになるので好かない。
 
4〜5日前の新聞に、最近、建築図面を手書きで描いて、施主さんに提案する建築家が増えてきた。という記事が出ていたが、papaも平面立面は、PC(Illustrator)で描く(1/100という縮尺が正確だから)が、提案書の表紙は、必ず手描きのイメージ画を入れる。ダーマトで描いた「デザインの素」と同じタッチのものを。ハウスメーカーや工務店さんからも、このイラストだけを頼まれるケースもある。わざわざ、写真からイラストを起こすのだ。
 
単にカワイイものとか、やわらかいイメージで。だけではないのだと思う。デジタルで仕上げたものは「正確」すぎるのだ。正確すぎて、見る人に想像する余地を与えないのだと思う。
 
思い描いたイメージ。何年後かの家族の暮らしぶり、子供達の声、陽の光、風の通り、小鳥のさえずり、花壇の花。お料理の匂い。あの土地にこんな家ができたら、、、。見る人それぞれがイメージを頭に思い描く。そのように導くことができる「プレゼンテーション」が素敵だと思う。
 
人に「想いを伝える」ことができるのは、自分の経験値で想像したものを具現化するのではなく、見る人それぞれの経験値で広がる想像力を呼び起してあげることなんだと思う。その点で、ちょっとルーズで甘い線や、線からはみ出た色が、その人の自由な想像力を膨らますような気がする。
 
人に伝えたいものは「人の手で。」やはりそんな仕事を続けてゆきたいと思う。
 
P.S.
1年前に始めた、この「パパスデザインの素」。今回が52週、52話目。丸一年が経ちました。一度だけ、出張で月曜に更新できることができませんでしたが、それ以外は全て(ほぼ)毎週、月曜のお昼にUP。楽しみにしていただけた方もいたのかな?
今後は、もうちょっとファジーに、気が向いたとき、「こんな話をしてみたい」ときにUPしたいと思います。期待せずお待ちください。まずは、一年間のご笑読感謝します。
 
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