2018.9.24 第49話

Aladdin ストーブ。

このストーブを初めて目にしたのはいつだったか。自分の記憶の奥底にず〜っとあったように思う。なんとも可愛いこのフォルムとブルーの炎を眺めながら記憶を辿ってみた。
 
なんとなく蘇ってきたそのシーンは、小学2年生の4月(50年以上前だが)、東京上井草の伯父の自宅の一室だ。伯父と言っても正確には父の叔父で、自分からすると祖父の末弟の「おじさん」だ。東大出の一流企業に勤める、父が最も尊敬する叔父さま宅。応接室だったと思う。
 
横浜の叔母のところに同居していた祖父が脳溢血で急逝し、葬儀の後のご挨拶に訪問した際だった。豪放磊落と父が賞していたその叔父さんが、「わざわざ済まないね。よく来てくれた。」と、父と父の弟(まさに叔父さん)にビールを注ぐのだが「こんなもんじゃ酔わないだろう」とウィスキーをドボドボと足しながら、「少し寒いね。」とマッチで火をつけてくれたのがこのAladdinストーブだった。確か、その傍にバイオリンが置いてあって、そちらの印象の方が強く、後日父にねだってバイオリンを買ってもらったのだった。バイオリン教室に数回通って何故かやめてしまったが、子供用の小さなバイオリンがpapa宅にまだある。
 
まどろっこしい話だが、そんな50年以上の前の「シンプルでどこか懐かしいこのデザイン」の記憶が自分の中にはず〜っと残っていたことが不思議だ。6年前にbilancia(イタリアンレストラン)のオープンを手伝った時、薪ストーブの補助としてシェフに相談された時、記憶を辿って「アラジンストーブがいいと思う」と勧めたのだが、自分では所有していなかった。
 
英国アラジン社で、80年前に誕生して以来、ほとんど変わっていないデザインと機能。ルイスポールセンのph5(ペンダントライト)でも60年だから、まさに不変だ。(優れたデザインは、時代を超えても変わらないし、変える必要もない=カタログより抜粋)「いつか手に入れたい。」と思いながらも「いつまでも変わらないであるだろう。」と、友人たちのSNSに登場するのを横目で見ながらも「まあ、そのうちに。」と、流していたのだが、この秋の地震による停電。
 
papa宅は、ログハウスでありながら?薪ストーブではない。薪の確保が難しかったからなのだが、薪ストーブ風のFF石油ストーブ。停電すると機能しない。「この地震が、停電が、冬に起きたら!?」と、やっと?早速?手に入れた。
 
まだストーブが必要な気温ではないのだが、「少し寒くないか?」と、点火してみる。部屋を少し暗くして、ブルーの火を見ながら、オンザロック!備えあれば憂いなし。笑
 
◀︎第48話へ  第50話へ▶︎