2018.5.7 第29話

キトピロの季節。

秘密ひみつの山あい。(papaの自宅から車で20分ほどの里山)綺麗な沢水の流れ。その対岸の南斜面、ガレ場、熊笹の葉がなくなるところ。papaの「キトピロ畑」がある。別名、ギョウジャニンニク。アイヌネギとも。
 
20年ほど前に見つけた場所なのだが、未だに人に会ったことはない。熊さんはいるらしいが、こちらもまだお会いしていない。パパの「キトピロ畑」は見渡す限り。だが、友人にも教えない。家族だけ。「山菜」はそういうものなのだ。
 
そろそろいい季節。行ってみようではないか!笑。ワークパンツに長袖シャツ。首にバンダナ。BUCKのハンティングナイフ。ザックにはビニール袋4つ。キトピロ用に2袋。蕗用に1袋。まだ早いか?タランボ用に1袋。長靴。熊用の鈴と熊よけスプレーを忘れずに。しゅっぱ〜〜つ!
 
10分ほど走ると森林監督署のゲート。署で教えていただいたナンバーで鍵を外し中へ。5分ほど走り、古い橋のたもとに車を止め、沢伝いに歩く。「おっほっ〜〜あるあるあるではないか!」今年も斜面いっぱい見渡す限りの「キトピロ」だ。木漏れ日にキラキラ、沢からの風でフルフル。見つける前から匂いがプンプン。あ〜〜なんと素晴らしき「パパのキトピロ畑!」
 
根から抜いてはいけない。こんな20cmほどのモノでも根ごと抜いてしまっては、元の大きさになるには何年もかかる。ナイフでさっと根を残して切るのだ。小さなものは採らない。来年再来年に頂くのだ。あっという間に2袋。20リッターのザックに半分。新聞に包んで地下の冷暗所で1週間は保存できる。冷凍はしない。「旬」を頂くのだ。
 
やはり、タラの芽は少し早かったが、蕗がいけそうだ。まだ茎が真っ白で、やわらか〜いのだ。お出汁で茹でていただく。日本酒が合うのである。食べる前から、山の中でニヤついているのだ。
 
持ち帰って、ママさんにご披露。さぁ〜〜まずは、「キトピロラーメン」塩味にキトピロの新鮮なエキスが絡んだひき肉の油味?新玉ねぎ!キラキラのスープ!絶品なのです。どういうわけか?家の中ではなく外で、庭のガーデンテーブルで頂く「ならわし」となっている。
 
夕食は、日本酒メニューでキトピロの酢味噌和え、冷奴にキトピロの醤油漬けの薬味。蕗のお出汁煮。翌日は、キトピロパスタ、キトピロピザ、と。春を頂く至福の瞬間(とき)なのです。自然の恵みに感謝。
 
◀︎第28話へ  第30話へ▶︎